まぶたが痙攣する、あるいは顔の半分がひきつったり痙攣したりする病気があります。
ほとんどが片側性で眼のまわり(眼輪筋)がピクピクした痙攣から始まり次第に頬、額、口の周りの筋肉まで痙攣がおよぶこともあります。
一時的な痙攣であればミオキミアといい疲れた時に症状が強くなるもので自然に軽快するので心配な症状ではありません。
しかし痙攣が慢性的に持続するときは顔面痙攣が考えられます。
また眼瞼痙攣は酷くなると瞬きが正常にできなくなるためにドライアイを併発したり、光がまぶしい、眼をあけていられないなどという症状があります。
原因はわからないことも多いのですが、顔面神経(顔の筋肉を動かす神経です)が脳から出るところに動脈が絡みついていて起こる、とも言われます。
その場合、脳神経外科での手術が必要になることもありますが、ボツリヌス菌毒素の注射で痙攣を軽減させる方法が一般的になってきました。
当院では、顔面痙攣・眼瞼痙攣の患者様に、ボツリヌス菌毒素による治療も行っています。
ボツリヌス菌毒素は、神経と筋肉の接合部に作用して、神経からの信号を筋肉へ伝えにくくします。それによって、筋肉の余分な痙攣を軽減させることになります。
毒素というと怖いようですが、使用するボツリヌス菌毒素はきわめて少量で、局所投与なので副作用も少なく安全です。
また、本来、ハチミツなどにもこの毒素が少量ではありますが含まれていることがあります(通常、食べても問題はありません)。
実際には、この薬剤を顔面の表面にある筋肉近くへ注射します。
この治療法は世界75か国以上で認可され、広く用いられています。
お薬の効果はおよそ3~4ヶ月間です。効果の期間には個人差もありますので、症状を見ながら治療を行います。