2008.11.01
少し前の話ですが、日本の誇る新幹線が止まるはずの駅を通過してしまった、という事件?がありました。運転手さんが居眠りしていた(あるいはボーっとしてた)ことが原因でした。当の運転手さんは100kg以上ある立派な方であったようで、結局、睡眠時無呼吸がその居眠りの原因とのことでした。
睡眠時無呼吸とは、寝ている間に10秒間以上息が止まった状態が一晩に30回以上、あるいは1時間あたり4回以上起こった場合をいいます。重症の方では、1時間に60回以上も息が止まっていることもあり、こうなると日中の眠気、だるさ、などが頻繁に起こってきます。
寝ているつもりでも、たびたび起こる無呼吸で十分な睡眠がとれていないのです。
“いびき”は、ノドの粘膜が呼吸する際に、震えることで起こる音です。音の発生源は、口蓋垂(俗に言う“のどち○こ”)付近が震えることで起こる音(1)と、舌の根っことノドの奥の壁とで起こる音(2)の2種類が主なものです。
(1)の場合、口蓋垂付近の粘膜が鼻の突き当たり付近の壁にくっついていて鼻から息が入るときうまく離れないために震えて音がでますし、離れなければ呼吸ができませんので、無呼吸となってしまいます。 この場合、わりと軽い音のいびきがします。
(2)の場合、息を吸い込む時に、舌の根っこが落ち込んで(引き込まれて)ノドがつまってしまいます。無呼吸のひどい方はたいていこれが原因です。仰向けに寝ると、舌が奥(ノドの後ろ)へ落ち込んでノドが狭くなります。この場合は、いわゆる怪獣みたいないびきです。
では、どんな方が無呼吸症を起こしやすいのでしょうか? また、その対策は?
(1)肥満の方:ノド、特に舌の奥に脂肪がつくと舌の奥が肥大してノドが狭くなってしまいます。ノド周囲にも脂肪がつくので、重症の無呼吸症となることが多いです。 基本はゆっくりでかまわないので安全に体重を落とすことが一番の治療になります。 重症の無呼吸の場合は睡眠中にCPAP治療という呼吸補助装置をつけて呼吸を安定化させます。
(2)扁桃腺が大きな方: 大きな扁桃腺によってもノドが狭くなるので、いびき・無呼吸が起こりやすくなります。無呼吸の程度によっては扁桃摘出手術を行います。小児でも、アデノイド・扁桃腺が大きくて無呼吸になっている場合は手術を行います。
(3)下アゴが小さい方: 近年、日本人の下アゴがスリムになっており(硬いものを食べなくなったからでしょう)、小さなアゴに、舌がおさまらず、結果的に舌が奥においやられてノドが狭くなります。 マウスピースを寝るときにはめ込んでなるべく舌が前に出るようにする治療もあります。
(4)その他: ノドの腫瘍、甲状腺機能低下、中枢性(呼吸を調節する脳の一部が変調をきたす)などでもおこります。
*睡眠時無呼吸による居眠り運転などで事故を起こす確立がかなり増加したり、仕事の効率がかなり落ちたりすることが指摘されており、特にプロのドライバーの方は注意が必要です。