2008.01.07
桜咲く4月になりました。4月は何かとイベントの多い月です。新入学、就職、転勤、職場部署の変更など。気温も暖かくなりヒトの1年間のバイオリズムも大きく変化する月といえます。
年末のあわただしいときもそうですが、この時期は特に精神的にもなにかとストレスのかかる時期ともいえます。
あたらしい学校や、新たな職場・環境など、緊張がつづきます。
5月になると、“5月病”とかいわれ、緊張のあとの緩和された状態もこの時期に特徴です。
年間を通じて、この時期は“めまい”を起こしやすくなる時期でもあります。
めまいを起こす原因はさまざまですが、今回は耳が原因でおこるめまいをお話します。
耳(内耳)には平衡機能(バランス)をつかさどる三半規管や平衡斑と呼ばれる器官があります。これらに変調をきたすとバランスがとれなくなりめまいが起こります。耳は左右2つありますが、突然どちらか1つの耳がおかしくなると、耳からのバランス情報をとりまとめている脳が混乱しでめまいがおこります。その場合、ぐるぐる回るような激しいめまいがおこることが多いのです。
メニエール病は耳が原因でおこるめまいです。名前が有名で、めまいといえばメニエール、と思っておられる方もおられるかもしれません。実際のめまい患者さんの中でメニエール病は20%程度です。突然起こるぐるぐる回るめまいで、吐き気・嘔吐を伴うことが多い激しいめまいです。たいていは難聴・耳鳴りも起こりますが、めまいだけの場合もあります。激しいめまいなのですが、命に係わるめまいではありません。数日でめまい症状はよくなることが多いのですが、月あるいは年単位で繰り返すことがあり、やっかいです。ストレス、寝不足が引き金になって発症すると考えられています。内耳のリンパ液が多すぎて起こるとされ、軽い利尿剤を治療に使用します。重症の場合はステロイドの使用もあります。
メニエール病とよく似ためまいに、前庭神経炎があります。前庭神経とは耳の中にある三半規管・平衡斑のことで、なんらかの原因(ヘルペスなどのウイルスの感染説もあります)でこの神経が傷害をうけメニエール病のような突然の激しいめまいを起こします。難聴がないのがメニエール病との違いで、めまい発作を繰り返すことはありません。 ただし、しっかり治療しても前庭神経の障害が残り、かなり長い間ふわふわしためまい、頭を動かしたときのめまいが残る場合があります。メニエール病よりもめまいの激しいことが多く、入院点滴治療が必要な場合もあります。ステロイド、循環改善剤などを使用します。
寝返りをしたときや、頭の位置を動かしたときに1,2分程度(実際は20秒くらい)の回るようなめまいを起こす病気があります。良性頭位変換めまい症と呼ばれるめまいで、三半規管のなかにちょっとしたゴミ(もともと内耳にある耳石と呼ばれる物質)が紛れ込んで頭の位置を動かしたときだけ起こるめまいです。ほっといても3-4週間で治ることもありますが、耳鼻科でゴミを追い出すような手技をおこないます。
その他、突発性難聴、中耳炎、外リンパろう、などでもめまいを起こすことがあります。
3:耳介、4:鼓膜、6,7,8:耳小骨
9:三半規管、10:蝸牛(音を感じるところ)
12:耳管(鼻の奥とつながっている)