2010.09.01
愛煙家にとっては、かなり耳が痛む話をしたいと思います。
まず、耳鼻咽喉科領域の病気は、タバコ(喫煙)と関係が深いのです。
* ポリープ様声帯(図1)
“声帯ポリープ”は聞いたことがあるかと思いますが、これは聞きなれない病名かと思います。声帯ポリープ(図2)は、多くの場合、声の使いすぎで起こり、嗄声(声がかれる)が症状となります。声帯の一部にポリープが出来るため、結構ひどい声になります。無理な発声が声帯の粘膜に負担をかけてポリープが生じるわけです(よく声を使う職業の方、たとえば保母さん、教師、体育会系のコーチなどに多い)。
これに対し、“ポリープ様声帯”は、その原因はほぼ100%喫煙にあります。声帯の全体が、水ぶくれ様に腫れて、声帯ポリープよりもっとひどい声になります。簡単に言えば、タバコによる声帯の“ヤケド”と考えていただくといいかと思います。声帯全体が腫れるため、病気が進行すると、ますます声が悪くなり、声をだすのにも力が要りますし、さらに進行すると、息苦しくなることもあります。声帯は気管・肺への入り口ですので、ここが腫れると危ないわけです(窒息!!)。
治療の第一は、もちろん、“禁煙”です。軽症の場合はこれで良くなることも多いですが、ある程度進行していれば、手術で声帯の腫れをとってあげる必要があります(手術は、全身麻酔で口から特殊な器具を挿入し、顕微鏡でみながら行うものです)。
* 喉頭癌
よくしゃべり、タバコを吸うラテン系気質
(関西人?)の人がこの病気になりやすい?とか、喉頭癌治療の権威の方が昔おっしゃってたと私は確か記憶してますが、、、
いずれにしても、喉頭癌は、癌のなかでも、最もタバコと関係のある癌です。一部の肺癌も関係を指摘されていますが、癌との関係では、喉頭癌が一番関係が深いのです。初期の喉頭癌では90%以上治るようになったのですが、放射線をあてたりと、つらい治療が必要ですし、是非、タバコ吸ってる方は、禁煙しましょう。
* におい・味覚の障害
喫煙者では、明らかに非喫煙者に比べて、
嗅覚(におい)が低下しているという報告があります。具体的に、タバコの煙がにおいを嗅ぐ細胞に影響しているかは、わかってないことも多いのですが、統計学的に差があるのです。
Smoke gets in your eyes(タバコが目にしみる)というジャズの名曲があります(失恋の歌ですけど)。アルコール・タバコはジャズの雰囲気にぴったりだし、なんだかカッコいい感じもするのですが、どちらも節度をまもって、というよりタバコは避けたいです。
この10月から、値上げされるとのこと、喫煙者の皆様、タバコを減らすというより、思い切ってやめちゃいましょう。