2012.10.11
秋が近づき、季節がうつろう頃は、残念ながら、気管支喘息、アレルギー性鼻炎の症状が出やすい頃とも言えます。
最近の統計によると、気管支喘息患者さんの60-70%に鼻炎が合併しているとの報告があります。とある大学生の長期の追跡調査を行った研究で、アレルギー性鼻炎になっていた大学生は、アレルギー鼻炎になってい大学生に比べて、その後20年程度経過したら気管支喘息の発症率が有意に多いとの報告もあります(なんと気の長い研究!)。
日常の診療でも、小児喘息の患児は大抵アレルギー性鼻炎(ほとんどハウスダストがあいて)もあることがしばしば経験されます。
すなわち、鼻からのど、さらに気管支(肺)への空気が通る道は(気道)、共通して病気が起こりやすいということです。表題は、この事実から医学会で最近よく標榜されるフレーズとなっています。
確かに、のどを除き、鼻の粘膜と気管支の粘膜は同じような構造です。
鼻の粘膜の表面には、繊毛細胞と呼ばれる細胞がならび、鼻粘膜の表面をおおっている粘膜を、そとから吸い込んだ空気中のホコリが付着した粘液とともに、喉へおくりこむ働きがあります。一方、気管支粘膜表面にもサーファクタント(これは肺胞の形態維持に役立っている)と呼ばれる物質が覆っていて肺胞より手前の気管支粘膜には鼻粘膜と同様に繊毛細胞がいます。気管支内の余分な粘液はこの細胞の働きで、喉へと運ばれ痰となります。
ここで、鼻がつまってしまった場合を考えてみます。口で呼吸することが出来ますが、しばらくすると喉がいがいがと乾燥して痛くなって来ます。肺に入ってゆく空気を、加湿し、温度を適当に調整し、ホコリなどの異物を取っているのが鼻の機能です。アレルギー性鼻炎などで鼻つまりがひどくなると、当然、気管支(肺)に、負担がかかるのは容易に想像できるかと思います。マラソンの季節でもありますが、ランニング中は、鼻で息をすって、口ではく、とった指導をうけたことがありますが、肺を守る上でも、鼻呼吸は重要です。
気管支喘息のみならず、気管支を守り負担軽減のためにも、鼻炎、鼻の機能を損なう状態はきちんと改善することが重要です。
アレルギー性鼻炎を合併する気管支喘息患者さんの治療において、アレルギー性鼻炎をきちんと治療できている患者さんのほうが、喘息発症が軽くてすんだとの報告もあります。