2013.08.09
当然ですが、ヒトは、飲み込むことで食物を食道から胃へ送り込み、消化吸収を経て生きるエネルギーにしています。
食事を取る、という行為の最初が、咀嚼・嚥下という行為です。
咀嚼(そしゃく)とは、口に入れた食物を噛み砕き、唾液と混合し、嚥下(えんげ)しやすい状態にする行為です。もちろん、歯がしっかりとしていないと、きちんと咀嚼できませんが、歯と歯肉のことは、歯科の先生にお任せするとして。
食事の際には、唾液の分泌が十分でないといけません。唾液の分泌が少なくなる特殊な病気(シェーグレン症候群など)や、加齢による唾液分泌減少でも、飲み込みにくい状態となります。
口の中で、舌の動きが十分でないと、これも咀嚼の妨げになります。舌を動かす神経の麻痺(脳梗塞など、大抵は、嚥下にかかわる神経も麻痺してしまいます)でも咀嚼がうまく出来なくなります。
口の中で、咀嚼された食物は、小さな固まり(食塊)となり、のどから食道へおくられます。この一連の操作を、嚥下(えんげ)といいます。口の中から、舌、軟口蓋(うわあごの奥の部分)、咽頭にある筋肉の協同作業で、食道へ送り込むのです。
鳥の鵜(う)が、魚を飲み込むときは、首をゆすってお腹に送りこんでますが、ヒトでこのような嚥下を行ってはいけません(*最も鵜飼いの鵜たちは、のどを締め付けられていて、せっかくとった鮎などを吐き出さされていますが)。
ヒトには、喉頭(こうとう)と呼ばれる、食道と気管へのルートの関所みたいな部位があります。鼻・口から呼吸する場合は、空気が鼻→咽頭→喉頭→気管へと流れています。一方、食べ物が食道に送られる時は、口→咽頭・喉頭の一部→食道、といったように、呼吸するのと一部同じ箇所を通ります。この際に、食べ物・飲み物が気管に入らないよう、嚥下の際に、咽頭・喉頭は、かなり複雑な動きをします。
まず、ゴックン、とする時、喉頭が上にひっぱり上げられ、さらに喉頭蓋とよばれるヒダが気管への入り口にかぶさり、フタがされます。同時に、口蓋垂(のどちんこ)を含む軟口蓋が上にまくりあげられ、食物が鼻へ行かないようにブロックします。このようにして、食物は、食道のみへ送られるように出来ています。この一連の動きが、0.5秒程度で行われるので、ほんの一瞬のうごきなのです。
時々、むせる、という場合などは、先の“鵜”のような飲み込みかたではなく、ゴックン、とする際に、少しうなづきながら、飲み込むのが、むせを防止します。